記事: 京番茶

京番茶
京都に冬が訪れ、指先が思わずすぼむほど空気が冷たくなる頃、ふっと心をほぐしてくれる香りがある。湯気の立つカップから立ち上る、京番茶のやわらかくスモーキーな温もりだ。素朴でじっくり焙煎されたこのお茶は、昔から京都の家庭で冬の相棒として親しまれてきた。大きな釜でたっぷり淹れ、食卓を囲んで分かち合い、寒さを追い払うようにすする: そんな光景の一部として存在してきた。
京番茶は、気取らず飲めるお茶だ。厚手の毛布にくるまるような安心感がある。香ばしい香り、まろやかな甘み、ほんのり漂う薪の煙の香りは、冬の日の静かな癒しそのもの。手をカップに添えて温め、深呼吸する—そんな小さなひとときに寄り添ってくれる。

とはいえ、京番茶は番茶の一種にすぎない。番茶とは、遅い時期に摘まれた成熟葉を使ったお茶の総称で、地域によってその姿は大きく変わる。土地ならではの技術、気候、暮らしの文化が反映され、同じ“番茶”でも全く違った個性が生まれるのだ。
京都番茶(京番茶)
大きな葉をそのまま蒸して揉まずに乾燥させ、炒って作る、焙じタイプの番茶です。炒る時に発生する煙から来る燻し香(スモーキーフレーバー)が特長です。
美作番茶

枝ごと刈り取った茶葉を蒸すように煮て、むしろに広げて、時々煮汁をかけながら天日干しして乾燥させます。
阿波晩茶

枝ごと刈り取った茶葉を釜でゆででから、揉んで桶に漬け込み、乳酸菌発酵させ天日干しして乾燥させます。他の番茶と製法が違うため、「晩茶」「ばん茶」と表記されます。
京番茶の淹れ方:冬にうれしい、気負わず楽しむ淹れ方
京番茶の魅力は“寛容さ”。たっぷり淹れて、大きく温かいカップで飲むほどおいしさが際立つ。京都では大きな急須で煮出し、家族で一日ゆっくり楽しむことも多い。
寒い季節におすすめの淹れ方は次の通り:
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茶葉はたっぷりめに
京番茶は成熟した大きな葉で作られるため、風味が出るのに少し時間がかかる。中サイズのポットで10〜15gほど使うと、香ばしさとやさしい甘みがしっかり引き立つ。
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沸騰したてのお湯が最適
繊細な煎茶と違い、京番茶は熱湯を好む。95〜100℃のお湯で、焙煎の香ばしさやほのかな燻香が最大限に引き出される。
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ゆっくり抽出する
3〜5分ほどじっくり蒸らすと、茶葉がふわりと開き、丸みのある温かい味わいに。より濃い焙煎香が好きなら、少し長めの抽出もおすすめ。苦味が出にくいのも嬉しい。
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京都風に“煮出す”のもおすすめ
もっとふくよかな味にしたいなら、鍋で茶葉をお湯に入れ、弱火で5〜10分ほど煮出す方法も。台所に焙煎茶の香りが広がり、冬の日にぴったりのほっとする一杯に仕上がる。
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再抽出も気軽に
京番茶はとても丈夫。特に煮出した場合は何度でも楽しめる。重ねて淹れるごとに甘みがゆっくり深まり、冬の午後のように穏やかに移ろっていく。
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一日中楽しめる
カフェインが控えめなので、夜のくつろぎ時間や食後の団らんにもぴったり。刺激が少なく、温かさがじんわり続くのが、冬に愛される理由のひとつだ。
冬に再発見したい、静かで豊かな一杯
日が短くなり、空気が澄んでいく季節。京番茶は、ただの飲み物ではなく、小さな冬の儀式のような存在になる。やわらかな燻香、落ち着いた甘み、気取らない味わいが、冬の静けさと向き合わせてくれる。
美作番茶の土を思わせる香り、阿波晩茶の発酵による酸味——地域ごとの番茶に触れてみると、この“控えめなカテゴリー”が実は驚くほど多彩で、文化の香りに満ちていることがわかる。土地の気候、技、暮らしが、そのまま味わいとなって息づいている。
京番茶はまさに京都らしいお茶。素朴であたたかく、暮らしに寄り添う。昔ながらの淹れ方で楽しむのはもちろん、寒い日に鍋でゆっくり煮出しても、その温もりがじんわり染みる。
この冬、ぜひ味わってみてください。

当店の京番茶ティーバッグは、夜のリラックスタイムや冬の集まり、日本茶の素朴な一面を知りたい方にも最適です。ぜひ手に取って、京都の冬のぬくもりをご自宅でお楽しみください。


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