ほうじ茶の効能

ほうじ茶が心を落ち着かせる飲み物であることは、よく知られています。温かく、香ばしく、そして体にやさしい。では、その健康効果について、科学は実際に何を示しているのでしょうか？ここでは、この愛される焙煎日本茶について、最近の研究が明らかにしたことを見ていきましょう。

1. 抗酸化物質が豊富で、焙煎後も効果が続く
   ほうじ茶を作る際に茶葉を焙煎すると、緑茶に含まれるカテキンやビタミンCなどの成分は自然に減少します。しかし、『Foods』誌（2025年）に掲載された研究によると、ほうじ茶のポリフェノールの半分以上と、フラボノイドの約4分の1は消化後も活性を維持していることが分かりました。つまり、焙煎しても抗酸化作用がしっかりと残るのです。その作用は、未焙煎の緑茶に比べて穏やかで優しいのが特徴です。
   
   
2. 心を落ち着かせ、疲労を軽減
   伊藤園と産業医科大学が実施した研究では、ほうじ茶が集中力やストレスに与える影響が検証されました。認知課題中にほうじ茶を飲んだ参加者は、お湯を飲んだ人よりも成績が良く、疲労感も少ない傾向が見られました。また、標準的な緑茶を飲んだ人よりもリラックス効果が高いことが示されています。この効果は、ほうじ茶の低カフェイン含有量と香ばしい香りが副交感神経（休息とリラックス）を刺激することに関係しています。
   
   
3. 心臓の健康をサポート
   ほうじ茶の健康効果は、体の中でも特に循環器系の健康を支える天然成分に由来します。玉露と同様に、カテキンが血圧やコレステロール値の維持を助け、心臓病や脳卒中、動脈の炎症リスクを低減します。さらに、ほうじ茶には血流を促し、血栓を防ぐ働きのあるビタミンEも含まれています。
   
   
4. 消化を助け、代謝をサポート
   ほうじ茶に含まれるカテキンは代謝を高め、カロリー消費を促して脂肪の燃焼を助けます。また、食物繊維が豊富なため、脂肪の吸収を抑えながら消化をサポートし、健康的な腸内環境を維持します。茶ポリフェノールに関する最新研究では、腸内細菌のバランスを整え、脂肪代謝をサポートする可能性が示されており、多くの人が食後にほうじ茶を心地よく感じる理由の一つとされています。
   
   
5. 関節を守り、炎症を抑える
   ほうじ茶に含まれるポリフェノールは、歯茎の炎症を防ぐだけでなく、関節炎による腫れや痛みの緩和にも役立ちます。関節の炎症を抑え、さらなる損傷を防ぐことで、関節の健康維持をサポートします。
   
   
   

科学的研究は、長年お茶を愛飲してきた人々が直感的に感じていたことを裏付けています。ほうじ茶は心と体をやさしくリラックスさせ、カフェインが少ないながらも抗酸化物質や植物性成分を豊富に含んでいます。万能薬ではありませんが、日々の暮らしに穏やかなバランスをもたらす、美味しくて信頼できる一杯です。

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